高野山・熊野を愛する百人の会

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活動報告

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2023.02.01

高野山とその魅力を語るトークセッションを開催!

トークセッション「私にとっての高野山とその魅力」



トークセッションの様子


世界遺産の地を舞台に開催している、世界遺産「高野・熊野夢舞台」。令和4年10月、来年「弘法大師空海御誕生1250年」を迎える高野山で、「高野山・熊野を愛する100人の会」メンバーで尺八奏者の辻本好美さんをお迎えし、トークセッションとコンサートが開催されました。以下、トークセッションの様子をお届けします。




語り手プロフィール


辻本好美(つじもとよしみ)

1987年和歌山県橋本市生まれ。東京藝術大学卒業。在学時からメディアの注目を集め、純邦楽からPOPSまで幅広く活躍中。アメリカやイタリアなど世界中から招致されている。(海外公演:24ヶ国33都市、53回)。2015年 和楽器カバーの動画が世界中のSNSで大反響。日本の伝統楽器の素晴らしさを世界中に拡げるため、ソロ・プロジェクト“Bamboo Flute Orchestra”を結成。2016年 史上初の女性ソロ尺八奏者としてメジャーデビュー。


藪 邦彦(やぶ ほうげん)

総本山金剛峯寺高野山執務公室長。1993年高野山大学卒業。2011年。切播寺住職に就任し、現在に至る。(※切播寺(福岡県)・篠粟八十八カ所霊場 第十番札所)。2021年、総本山金剛峯寺執行長公室長・高野山真言宗宗務総長公室長(現 高野山執務公室長)、宗祖弘法大師御誕生1250年記念大法会事務局長に就任し、現在に至る。




藪 本日はよろしくお願いいたします。


辻本 よろしくお願いいたします。


藪 ようこそ、この高野山にお越しくださいました。


辻本 ありがとうございます。


藪 また本日は高校生ともセッションしていただけるということを伺っておりまして、本当に嬉しく思っております。辻本さんは橋本のご出身と伺っておりますが、高野山とのゆかりというか、そういったところも含めて少し自己紹介をいただければと思います。よろしくお願いします。


辻本 皆さま改めまして辻本好美と申します。今日はこのようなトークセッションという時間も頂戴いたしましたので、少し自己紹介させていただきます。先ほどご紹介にもありましたけれども、私は和歌山県の橋本市出身でございます。橋本市といえば、この高野山の麓の市でございますので、小さい頃から高野山にはよく両親に連れて来てもらい、街を探索したり、精進料理をいただいたりして、すごく高野山には親しみを持って生活させていただいております。出身地を答える時も私は高野山の麓の橋本市でというふうに紹介させていただけるので、本当に素敵なところで育ったなぁと思っております。


辻本 そして尺八を演奏させていただいておりますので、この日本の伝統文化のひとつであります尺八というものを少しでも皆さまの身近なものに感じてもらいたいという想いを持って活動しております。今日も皆さんが尺八の面白さや可能性などを感じていただけると嬉しいなと思いますので、このあとの私のコンサートでも本当にリラックスして自由に聴いていただければ嬉しいなと思います。よろしくお願いいたします。


藪 高野山の麓の橋本というふうに、高野山のことも日々PRいただいているようでございまして本当にありがたい限りでございます。で、私はと申しますと福岡県で生を受けております。福岡県にも小さな街のなかに88ヶ箇所の霊場があるんですね。そのひとつのお寺であります10番札所の「切幡寺」というお寺で生まれ育ちました。山寺でございますので、街中の方々とはあまり触れ合うこともなく生活をしておりましたけど、高野山大学に進ませていただきまして、そしてそれ以来金剛峯寺で奉職をさせていただき、今に至るわけでございます。その途中で福岡県のお寺の住職も拝命をさせていただきまして、現在では福岡県とこの高野山とだいたい片道6時間くらいかかるんですけれども行ったり来たりをしながら、現在お務めをさせていただいているわけでございます。


藪 この高野山という場所、福岡県の檀信徒の皆さんにとってはやっぱり憧れの場所でもあるわけですね。先般より、少し年配の方とお話しする機会がありますと必ずと言っていいほど「元気なうちにもう一度高野山に伺いたい」「亡くなるまでにはもう1回」というようなことをよく言われます。毎回と言っていいほど言われるんですけれども「そんな1回とは言わず、何度もお越しくださいよ」と申し上げるんですけども、この近くにいらっしゃる皆さま方とまた遠くにいらっしゃるお大師様の信徒の方々の想いの形が少し違うような気がします。地の利の関係でなかなか行けないからこそ想いがより一層強くなるのかもしれません。そして何よりも亡くなるまでに最後にもう1度行きたい場所というような、本当に強い想いを福岡にいますと感じるわけでございます。そのようにこの高野山というのは、地域によってもそれぞれ想いというものが変わる場所なんだなというのも実感をさせていただいています。では、辻本さんはこの高野山について、どのようなイメージや想いを持ってらっしゃるのか、お聞かせいただければ嬉しく思います。


辻本 先ほども申しましたけども、小さい頃からこの高野山という土地には足を運んで、食べたり、そして観たりといろいろさせていただいているので、本当に親しみがあるといいますか、すごく身近な存在です。今日いらっしゃる皆さまも感じているかと思いますが、高野山という場所の空気感が、どこか凛としているというか、そこをすごく感じるのが毎回楽しみと言いますか。その雰囲気を持っているのは、やっぱり高野山として街が培ってきたものや守ってきたものから生まれてくる空気感なんだろうだろうなとすごく感じています。その空気感を味わうところから、高野山に触れていける、そして、たくさんの素晴らしいお寺などがありますので、私も死ぬまでには全部を回りたいなと思っています。高野山の面白さというのは、小さい頃は本当に何もわかっていませんでしたけれども、そこにいるだけで感じられたりできる場所というのが高野山の魅力のひとつだなと思っております。


藪 ありがとうございます。本当に海外の方であったり、文化の違う方々がお越しになられても、この言葉には言い表わせないけれども、ありがたい雰囲気というものを感じていただける場所であるというふうにも思います。突然ですが質問してみてもいいですか?根本大塔がそびえておりますこの場所というのは何を表していると思いますか?


辻本 何を表しているか……


藪 ここは壇上伽藍という場所なんですね。では何の壇上だろうか? 曼荼羅という仏様の絵がたくさん描かれた絵画があります。あれは仏様の働きを絵に表しているんですけれども、その曼荼羅世界をここに体現させるという目的でお大師様がここをお開きになられたわけですね。ですので、私たちは今、曼荼羅の世界の中に佇まわせていただいているんです。


藪 この曼荼羅って一体何でしょうって思うかもしれませんが、この根本大塔でお参りしていただいてもわかるんですが、そのたくさんの仏様の中に私たちが存在しているということを実感していただく、そういった場所なんですね。ですので、私たちは曼荼羅の世界の仏様と同様にこの世界でつながりあって、そしてお互いに高め合う存在なんですよっていうことをまさに身体で感じていただくための場所なんです。


辻本 知らなかったです。本当に面白いですね。それを感じながらこの後演奏できるのかと思うと楽しみです。


藪 高校生の声明の歌声と共にその想いというものをこの曼荼羅から発信をしていただけるのは本当に嬉しいと思います。それともうひとつこの高野山というところは、この周りを見渡していただいても麓が見渡せる場所がほとんどないんですね。盆地になっているんですけれどもこの土地柄のおかげなのかもしれませんが、多くの方々の1200年に渡る祈りがここに蓄積されている場所なんだろうなと思います。それ故に文化や人種の違う方々が来られてもその息吹を感じ取っていただけるそういった場所なんだろうなというふうに思うわけなんですね。ですので、この祈りというものを後世に繋げていくべく、この世界遺産というものを私たちは今後守り続けていかないといけないし、後世へ伝えていく役目を担っているんだということを今更ながら実感をするわけでございます。それでは、今から演奏していただくわけなんですけれども、そういった意味合いもちょっと含めながら、どういった想いで今からご演奏いただけるか少し触れていただければ。


辻本 今お話しいただいた内容を聞いて私自身びっくりしていますけど、高校生の声明とコラボさせていただけるのはとても嬉しいです。そして、私が高野山をテーマに書いた曲をコンサートの中で皆さんに聴いていただきたいと思っています。そのタイトルがまさしく「祈りの道」というタイトルでございます。私は昨日から高野山に入らせていただいているんですけども、昨日見たその高野山の景色だったり、今までや今日もこの瞬間も高野山からいただいているものを存分に自分自身感じながら、その魅力を是非音楽を通して皆さまにお届けしていきたいなと思っております。私は高野山で演奏するのがひとつの夢だったんですけども、高野山でただ演奏するだけではなくて、このように本当に高野山と深く繋がった状況で、皆さんとこの時間を一緒に共有できますことを本当に幸せに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


藪 ありがとうございます。祈りのこもった尺八の調べをきっと届けてくださることかと思います。楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。


辻本 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。



トークセッションに合わせて開催された辻本さんの尺八コンサート