高野山・熊野を愛する百人の会

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メンバー紹介

写真家

古賀 絵里子さん

Profile

1980年福岡市生まれ。上智大学仏文科卒業。
浅草に住む老夫婦の日常を綴った処女作『浅草善哉』(2003-2008)で、フォト・ドキュメンタリー「NIPPON」受賞、PRIX{virginia}jury’s choiceに選ばれ、同写真集(青幻舎)は「さがみはら写真新人奨励賞」を受賞した。
2014年『世界のともだち12 カンボジア』(偕成社)で「産経児童出版文化賞」大賞を受賞。
2015年高野山を舞台にした作品『一山』(赤々舎)を刊行。同展で「KG+AWARD」グランプリに輝く。翌年、京都国際写真祭で発表した『TRYADHVAN』に合わせ、同写真集(赤々舎)を刊行。
2020年安珍清姫物語から着想を得た作品『鐘』を公開する。
国内外で個展やグループ展を多数開催。清里フォトアートミュージアム、フランス国立図書館などに作品収蔵。京都市在住。

初めて高野山を訪れたのは2009年夏、山内で開催されたアートプロジェクト「Happy maker in 高野山」に出展するためだった。生まれは福岡、大学からは東京で過ごした私にとって、初の和歌山県だった。大阪なんば駅からひとり乗った南海鉄道。二時間ほどかけ高度が上がって行くにつれ、田園風景が消え、眺めが一変した。今でも目に焼き付いて離れない。それは森、太古の森、黒みがかった深い緑、がいくつももこもこと勢いよくおわしていて、人を寄せ付けない緊張感を放っていた。終点の極楽橋で降り、清廉な空気を胸いっぱい吸い込むも、高野山行きのケーブルカーに乗り込む際は「わたし、生きて帰れるだろうか」という不安もよぎったほど。しかし、その後滞在した高野山にすっかり心を鷲掴みにされた私は、5年かけて撮影に通い、作品『一山 / ISSAN』として結実させた。高野山に来ると心がじんわり温かくなる。今となっては、感謝と思い出がつまった、心のふるさとである。

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