高野山・熊野を愛する百人の会

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歌人

小黒 世茂さん

Profile

歌人。和歌山市加太生まれ。結社「玲瓏」編集委員、大阪歌人クラブ理事、現代歌人協会会員、日本文藝家協会会員ほか。
パステル画家として活動していたときに短歌を学び、1999年に「隠国(こもりく)」三〇首を詠み、歌壇賞を受賞した。それ以降、高野山や熊野がテーマとなっている。
歌集『隠国』『猿女』『雨たたす集落』『やつとこどつこ』『舟はゆりかご』、エッセー集『熊野の森だより』『記紀に游ぶ』を出版。短歌総合誌の短歌の旅の特集号に高野山や熊野を、また和歌山出身の西行法師や南方熊楠を記念した短歌俳句大会にたずさわる。

無垢なるおそれを呼びさます

深山幽谷には何かがある。
それを自然の大きさだと言われたとしても、こちらの直感には響いてこない。人間の本能をゆさぶる、直接的なものとでも言おうか。
私たちが古代から持っていた感覚の、「無垢なるおそれ」を呼びさましてくれるものなのだ。
超多雨林地帯の熊野の山々には、神仏も精霊も人も虫も草花も混在して生きている。実体の重みが感じられる場所である。
山岳修験者たちは、山河に籠って悟りを得ようとした。磐(動かない)、滝(すべてを洗い落す)、陽(闇を祓い光をもたらす)などの個々に宿る自然の力を見いだし、その霊力を身につけようとした。
 木々に溶けこみ深く息を吐けば、すべてが空っぽになる。岩場をほとばしる水となり、空にのぼる霧となり、小鳥のさえずりとなって、嶺や谷間を思いきり駈けめぐることだってできる。 
霧の上につき出た峰へ地下足袋の仙人ひよいと注連縄さげて

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