わたしにとっての「高野山・熊野」は、和歌山に生まれ育ったものとして日常であり、でも非日常であり、なんだかとても不思議なところです。
高野山は、小さい頃から必ずお盆とお正月に家族に連れられ、いつもより少しお上品な洋服を着て向かう特別な場所でした。
道中の車窓から見える深い緑、窓の隙間から入り込む風、車から降りて進む足裏の砂利の音、息をするたび体の中をすり抜けていく空気。それらが奥之院に向かうに連れてだんだんと清らかになっていく感覚、子どもながらに感じた驚きは、いまでも鮮明に覚えているし、訪れるごとに感じます。はじめて熊野古道を歩いて熊野三山を巡った時もそうでした。そこにいるだけで涙が出てくるあの清らかで特別な感覚は、唯一のものだと思います。背筋を伸ばしてがんばりなさい、でもちゃんと帰ってくる場所はここにあるよって言ってくれる。
和歌山に生まれ育ってほんとによかった！って、大きな声で誰かに伝えたい。
いや、やっぱり秘密にしていたいかな。いつも、ありがとう。