和歌山には、困難を乗り越えて精一杯何かを成し遂げたという、真心いっぱいの物語が、なんてたくさんあるのだろう、これが最初の印象でした。「語り」を生業とする私は、和歌山とゆかりの様々な物語を通して、多くのご縁をいただきました。高野山・熊野もそうです。その聖地に足を踏み入れた途端に、何か空気が変わったような気がしました。また熊野の山からは、鼓動が聞こえたように思いました。古事記の神武東征、稲むらの火、エルトゥールル号の物語、各地の言い伝え…。そして、その深く自分を包み込むゆったりとした時の流れ。那智大社に向って進みゆくと、光り輝くような荘厳な那智の大滝。2017年には「那智大社御創建１７００年/那智山青岸渡寺西国三十三所草創１３００年　熊野の祈り」で「語り　熊野那智大滝と日本人の心の物語」を上演させていただき、誠に光栄でした。この深い心が未来にも届きますよう心からお祈りしております。