高野山・熊野を愛する百人の会

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メンバー紹介

京都大学名誉教授(生物学者)

中辻 憲夫さん

Profile

和歌山県橋本市に生まれ、県立橋本高校卒業、生物学に興味を持ち、京都大学理学部と大学院で学ぶ(理学博士)。海外で研究活動の後、国立遺伝学研究所教授や京大再生医科学研究所教授など歴任。国内最初のヒトES細胞株樹立に成功して分配体制を確立。京大再生医科学研究所長や物質-細胞統合システム拠点長として活躍。産学連携による研究開発プロジェクトを指揮、大学発ベンチャー起業に参加。京大退職時に株式会社幹細胞イノベーション研究所と株式会社幹細胞&デバイス研究所を設立し取締役就任、幹細胞の新薬開発や再生医療応用に貢献。財団法人中辻創智社を設立(代表理事)して、若手研究者など次世代を担う若者支援等の公益事業を行う。

慌しい日常生活を救う自然と歴史

私が生まれ育ったのは橋本市隅田町、紀の川の北側斜面、幼い頃から、川の向こう側に連なる深い山々の奥には何があるか考えた。近所の古墳と石室も遊び場のひとつ、万葉集の歌枕の真土山など古代からの歴史も知った。高校の仲間と高野山に登り、生物部で熊野と大台ヶ原を訪れた。豊かな自然と歴史の中で育った私は、生物学への興味を深め、京都大学理学部に進んだが、白浜町の京大臨海実験所で合宿中に南方熊楠記念館を訪れ、生物多様性研究と生態系保護活動の先駆者を知った。その後は、国内外で研究者としての仕事に励んだが、退職後に思い返すと、遣り甲斐はあるが時間と仕事に追われる慌しい日々だった。当然に順調な時期も、困難に向き合う苦しい時もあったが、いつでも私に安らぎを与えてくれたのは、どっしりと大きく変わらない自然と歴史の中で休息する事だった。私にとってその原点は、あの紀の川の南側に拡がる、豊かで深い自然と歴史の風景だろう。

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