高野山・熊野を愛する百人の会

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メンバー紹介

文筆家、アートプロデユーサー

白洲 信哉さん

Profile

1965年東京都生まれ。細川護煕元首相の公設秘書を経て、執筆活動に入る。その一方、広く日本文化の普及につとめ、書籍編集、展覧会などの文化イベントの制作に携わる。父方の祖父母は、白洲次郎・正子。母方の祖父は文芸評論家の小林秀雄。主な編著書に『骨董あそび』(文藝春秋)、『白洲次郎の青春』(幻冬社)、『天才青山二郎の眼』(新潮社)、『白洲家としきたり』(小学館)、『かたじけなさに涙こぼるる』(世界文化社)他、最新刊に『旅する舌ごころ』(誠文堂新光社)。 

かけがえのない「再生」の場

和歌山県新宮市、熊野速玉大社の旧社地と伝えられる神倉神社の頂上には、ゴトビキ岩という巨岩が熊野灘にむかって突き出している。毎年二月六日の夕刻、1400年続くお燈祭りのおりおりに、僕は「上り子」として参加し、巨岩に寄り添いながら、刻々と変化する風景に酔い、ときに黒こげの洗礼を浴びている。先頭の強者のように駆け下りずとも、火の粉を浴び生まれ変わったような心地がして、短い時間ではあるが、「籠る」ことの意味を体現、都会に居ると感じない身体回路が動くかのような、秋の速玉大社船渡御でも似た様な得難い体験になった。僕にとり熊野は、かけがえのない「再生」の場だと思っている。

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