高野山・熊野を愛する百人の会

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メンバー紹介

写真家
東京藝術大学美術学部教授

鈴木 理策さん

Profile

1963年和歌山県新宮市生まれ。1998年出版の自身初の写真集『KUMANO』は新宮のお燈祭りに向かう行程をシークエンスで構成。翌99年に出版した二冊目の写真集『PILES OFTIME』で第25回木村伊兵衛写真賞を受賞。熊野の風景の他、水面、鏡面、桜、雪等を主題とするシリーズを発表している。写真集に『Water Mirror』(Case Publishing)、『SAKURA』『White』『意識の流れ』(全てedition nord)、『Étude』(SUPER LABO)、『海と山のあいだ』(amanasalto)、『Atelier of Cézanne』(Nazraeli Press)、『熊野 雪 桜』(淡交社)等。作品は東京国立近代美術館、東京都写真美術館、和歌山県立近代美術館、田辺市立美術館、サンフランシスコ現代美術館等に収蔵されている。

大切な事に気付かせてくれる場所

西洋では、自然に霊性を見出す多神観は原始的なもので、一神教へ発展していく過程での初期段階とする考え方があるようだ。だが、その後繰り返される宗教戦争を想うと、アニミズム的感性を未熟と見なすことには疑問が生まれる。
熊野には神道と仏教を習合してしまうおおらかさがあり、巨石や滝といった自然物を現代でも敬い、祀り続けている。この土地の信仰の在り方は形式を優先するものではなく、人が本来持っている感覚に基づくもので、素朴ながら奥行きが深い。人が本来持っている感覚を思い出すために、まずは熊野を訪れてほしい。きっと言葉での理解を超えた経験が得られるはずである。

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