高野山・熊野を愛する百人の会

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作家

中上 紀さん

Profile

1971年、東京生まれ。作家。ハワイ大学芸術学部美術史科卒業。1999年、『彼女のプレンカ』ですばる文学賞。小説、エッセイ、紀行などを執筆する傍ら、アジア、アメリカ、熊野を往復する。日本大学、武蔵野大学非常勤講師。また、中上健次が故郷の和歌山県新宮市を拠点に創設した文化組織「熊野大学」に学生時代より関わり、現在では夏期セミナーの企画や講師を務めている。主な著書に『イラワジの赤い花』、『夢の船旅 父中上健次と熊野』、『いつか物語になるまで』、『アジア熱』、『月花の旅人』、『海の宮』、『熊野物語』、『天狗の回路』。最新刊は『タクシーガール』(バジリコ)。

熊野・高野山はすべての人々の魂の故郷

私は東京生まれ東京育ちですが、父の故郷が熊野であるため、幼い時から遺伝子の原点として紀伊半島を意識しながら暮らしてきました。我が家には、毎年夏と冬には家族全員が車で新宮に向かい、長い休みを丸々過ごすという風習があったのも大きかったです。また、小学校時代、半年間ほど熊野で暮らしたこともありました。熊野が古来より蟻の熊野詣と言われる巡礼の聖地であったこと、重層的な歴史に包まれる場所、癒しの地であったことは、大人になってから知りましたが、子供の頃は、誰に何を言われなくても、それらを膚で感じていました。なぜなら、熊野はどこよりも濃い山の色、どんな海よりも青い海の色が、当たり前に存在する場所でした。神々が、自然に語りかけてくる場所でした。紀伊半島の山々は祈りと優しさに満ちています。太古の昔から人々がこの地を目指すのも、自然のことだったと言えると思います。人類の魂の故郷としてのこの世界遺産を、多くの人々に体感していただきたいです。

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